会員の横顔 (大師範 齋藤錦皇氏)

錦城流大師範 齋藤錦皇

 齋藤さんと錦城会との出会いは、職場の慰安旅行のバスでのカラオケで歌を歌ったことが事の始まりでした。旅から帰るや職場の吟詠部長が1週間毎日勧誘に通い、齋藤さんに吟詠部への入会を勧めました。斎藤さんが20歳後半のころだったそうです。

どんなものかと思いながら稽古場を訪ねてみると、立派な髭の先生と20名ほどの大部分男性の職員が熱心に稽古中でした。「おおきたか」と大歓迎を受け、始めて見ると、稽古の雰囲気もよく、何より今は亡き髭先生丸山城壮宗範の魅力と詩吟に興味が湧き、日増しに面白くなりどっぷりはまってしまったそうです。

職場の昼休みには屋上で声出しをし、夕方5時に仕事が終わるや再び屋上で1時間練習をして帰宅、もちろん家でもご家族からは8時から9時までと制限を受け稽古されたそうです。それくらい楽しくて楽しくて、他の教場にも出向き、また、全国大会に参加したりして、全国に仲間の顔見知りができ、3年後には詩舞も始め、青春とはこういうものなんだと思われたそうです。

 ほどなくお弟子さんを持ちご指導されるようになり、口の開け方から、振り、止め等、朗詠の在り方について、ひとつずつご自分が得たものは全て惜しみなく伝え、何より楽しく学べるよう工夫して指導に当ってこられました。

 「信頼関係を持てる友もでき、何と言っても詩吟の奥深さに浸り一途に邁進してきた。人として育ててもらい、錦城会の詩吟に出会えたことは掛け替えのない宝物となった、詩吟は私を騙すことはなかった」としみじみ述懐されておられます。好きで楽しいということを上回る努力と研鑽があったからこそ、聞く者が心震える吟詠ができるのだと、インタビューを終え、詩吟を愛し、また学ぼうとする皆様にお贈りしたいメッセージです。

 (インタビュアー 八重樫錦祥総教師範)

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