会員の横顔(中川城泰 氏)

錦城流総伝師範 中川城泰氏

中川氏の詩吟との出会いは、銀行を定年退職してからである。学友が詩吟をやっていて聞く機会があり、いいなと思ったこと、定年後住み始めた横浜市旭区の自宅近くに錦城流の道場があったことが幸いして、二俣川中沢教場で習い始めた。

 60代からの遅めのスタートであったが、注目すべきはすでに35年の吟歴を持ち、97歳の現在でも元気に吟詠にいそしんでいる。本人は終生詠い続けると言っている。定例の発表会にもほとんど出吟し、毎年コンクールにも出て入賞もしている。圧巻は、決して台本を見ず、詩文を暗唱し、正面を見て詠う姿勢に後輩の会員一同が尊敬を超え畏敬の眼差しで声援を送っていることである。

長寿の秘訣は何ですか?との問いかけに「鏡を見て背筋がまっすぐかどうかをチェックしてます」との言葉が返ったきた。確かに元気な方は老いても背筋が伸びている。

 ここまで長続きできたのは、ひとえにいい先生に巡り会えたこと、誉めていただき、教場長も任されたこと、会員増強のため新しい教場を作り9~10人の会員を集める苦労と喜びを経験したこと、大きな声を出すため健康に良いこと、発表会の後の懇親会が特に楽しみで好きなお酒を飲み、仲間と語らい、また、色々な人と知り合いになることが出来たこと…等にあるとおっしゃっています。

 中川氏の定年後の趣味の楽しみ方、特にひたむきな吟道精神はあっぱれと言うほかなく、多くの会員の目標となっているとともに、これから詩吟を始めようとする団塊の世代他多くのシニア―層の方々にとっていい道標となるのではないでしょうか。